「神社本庁ってどんなところ?」
「神社本庁の歴史が知りたい」
「神社本庁に属さない神社一覧を知りたい」
神社本庁は伊勢神宮を本宗としている、日本各地の神社を包括している宗教法人である意味総本山です。
官公庁ではなく宗教法人法に基づく文部科学大臣所轄の包括宗教法人で、設立は1946年に遡ります。
もともとは1872年に設立された神宮教会がルーツで、1875年に行政団体として神道事務局が創設された経緯があります。
神社本庁とは?役割や取り組みについて調査
「神社本庁」と「(都道府県)神社庁」の違いは何でしょうか。
神社本庁の歴史
1884年に神道本局に改編、1898年に全国神職会が結成して全国の神社の連携が強化されることになりました。
1890年に大日本帝国憲法第28条が施行され、日本国民は信仰の自由が認められましたが、神社は国家から宗教として扱われないままでした。
というのも、宗教に位置づけられる神道や仏教、キリスト教に対し、神社だけは国家祭祀を行う公的な機関に位置づけられたからです。
1899年に神宮教は神宮奉斎会へと発展、1900年代に入ると教育団体の日本奨学義会が創設されました。
日本奨学義会は教育勅語の普及を目的とする団体で、明治末期には皇室祭祀関連の規定も整備されることになります。
神社はこの時点でも宗教の認定を受けていませんでしたが、日本基督教会は神社非宗教論を否定する声明を出しています。
神社に転機が訪れることになったのは戦後で、1945年にGHQが思想や宗教、集会や言論の自由に対する制限の撤廃を言い渡したのが切っ掛けです。
そして自由の指令の公布を行い、日本政府には神道指令が命じられました。
神社本庁の発足
神道指令は国家神道を廃止するというもので、政治と宗教の徹底した分離が求められる内容です。
神社神道が民間宗教として存続することになったのも、この神道指令によるところが大きいです。
その結果、神社は宗教法人になって、神社本庁は包括宗教法人に位置づけられました。
神社本庁の発足は、大日本神祇会と皇典講究所、神宮奉斎会の3つの団体が中心になって進められました。
内務省の外局に位置づけられる神祇院は当初、GHQや占領軍の圧力を想定していなかったといわれています。
神社非宗教として体制が維持できるものと思われていましたが、実際には神道指令を受けて発布と同時に廃止に至りました。
このようにして設立、誕生した本庁は全国の神社を包括する組織として、約8万社の神社をまとめる存在となっています。
設立後は祭祀の振興と神社の興隆、日本の伝統と文化を守り伝えることに注力しているといえます。
神社本庁には憲章があって、これが教義とされています。
現在の本庁は約8万社の神社を包括する団体
神社と一口にいっても由緒は様々で多岐にわたることから、教義を1つにまとめるのは困難でした。
そこで1980年に評議員会議決を経て、憲章が定められることになりました。
第一条には伝統を重んじて祭祀の振興と道義の昂揚を図ること、大御代の彌栄の祈念と四海万邦の平安に寄与するといった内容が含まれます。
敬神生活の綱領は1956年に制定されたもので、これは憲章が施行される以前に用いられていた綱領です。
神社本庁の実践的な精神を示すものとして、本庁のあり方が分かる内容となっています。
現在の本庁は約8万社の神社を包括する団体ですが、被包括神社の集合体ともいえるでしょう。
そして、本庁の所在地は東京の渋谷区代々木にあって、ここが組織の中心となります。
場所は明治神宮のすぐ隣ですから、初めてであっても迷わずに事務所の所在地を確認することができます。
日本には被包括の関係を取らない神社も存在する
日本全国の多くの神社が神社本庁に包括されていますが、日本には被包括の関係を取らない神社も存在します。
そうした神社の数は約2000社といわれていて、靖国神社や伏見稲荷大社、日光東照宮などが含まれます。
これらは単立宗教法人などの形で、独立して運営が行われているのが特徴です。
小さい祠も加えれば、被包括神社ではない神社は20万社にもなるとされます。
本庁はあくまでも神社の活動を支援したり、伝統や文化を守る存在として存在、活動しています。
神社や神道の成り立ちにお参りのしかたやお祭りの紹介、過疎地域における神社の活性化などの取り組みが見られます。
日本神話の簡単な説明や質問と答えも公開していますし、国生みや黄泉の国、天の岩戸に八俣の大蛇といったキーワードに興味を持っている人には興味深い情報源となります。
伊勢の神宮や各地の神社についての説明もありますから、興味を持ったら公式サイトに目を通すことをおすすめします。
神社の立ち位置は戦前と戦後で大きく変わりましたが、現在も本質的な部分は違いませんし、地域や人々に寄り添い見守り、安心を与える存在としてあり続けます。
国家から分離されてはいますが、日本を代表する宗教を司る存在なのは間違いなく、存在感は大きくて今後も注目を集めることになるでしょう。
まとめ
全国各地に支部を置いて活動をしていますから、全国的に存在感があり、包括神社にとっては特に繋がりの深い存在になっていると思われます。
個人が直接的に関わることは殆どありませんが、神社を通して間接的には誰もが関わりを持っているといえます。